続いては、間接光による色移り(照り返し)を表現してみましょう。 間接光とは、文字通り他の面に反射して届く光のことです。
すでに説明したアンビエントオクルージョンや間接照明は、擬似的な環境光の計算です。 そのため、他の面からの反射、つまり間接光は計算に含まれていません。 よって、他の面からの『色移り』は発生しません。
しかし、この記事で説明する『間接光』の機能は、他の面からの反射が考慮されているため、色移りを発生させることができます。
では、作成済みの実験用シーンを元に解説します。 画面上部のプルダウンメニューの"File" -> "Open"を実行して実験用シーンのファイルを開きます。
では、作業を始めましょう。 なお、アンビエントオクルージョンや間接照明とは異なり、レイトレーシングを有効にする必要はありません。
上図のようにPropertiesウィンドウのワールドパネル切替ボタン()を押します。
続いて、間接光を有効にします。
上図のようにIndirect Lightingパネルの同名のチェックボックスをオンにし、GatherパネルにあるGather Methodを "Raytrace" から "Approximate" に切り替えます。
では、レンダリングしてみましょう。 キーボードのF12キーを押してください。
上図のようにスザンヌの顔や耳の中が少しですが明るくなりました。
なお、スザンヌの顔が明るくなったのは、地面に見立てた平面のおかげです。 つまり、平面がレフ板のような役割を果たしたのです。
続いて、間接光の反射回数の上限を増やしてみましょう。 もちろん、より写実的な結果を得ようという狙いからです。
上図のようにIndirect LightingパネルのBouncesに 4 を設定します。
では、これでレンダリングしてみましょう。 キーボードのF12キーを押してください。
上図のようにスザンヌのアゴの周囲にモヤがかかったようになりました。
かといって、Bouncesの数値を戻したくはありません。 そこで、Factor(影響度)を下げてみることにしましょう。
上図のようにIndirect LightingパネルのFactorに 0.4 を設定します。
では、レンダリングしてみてください。 キーボードのF12キーを押します。
上図のように自然な印象になりました、いい感じです。
ただし、色移りは確認できません。 それもそのはず、現在、立方体とスザンヌと平面は同じ色です。 色移りが確認できるはずもありません。
というわけで、スザンヌの拡散反射色を変更します。
上図のようにスザンヌを選択します。
続いて、マテリアルの拡散反射色を設定します。
上図のようにPropertiesウィンドウのマテリアルパネル切替ボタン()を押します。
続いて、スザンヌの拡散反射色を設定するわけですが、今までとはちょっと操作が異なる部分があります。
まずは、今までどおりに、カラーピッカーを開きます。
上図のように拡散反射色のカラーフィールドをマウスの左ボタン()でクリックします。
上図のように R を 0.0 に、G と B を 4.0 に設定します。 G と B には、1.0 でなはく 4.0 を設定している点に注意してください。
では、再度レンダリングしてみましょう。 キーボードのF12キーを押してください。
上図のように立方体の左手前の面にスザンヌの水色が色移りしているのが確認できます。
続いて、発光を表現してみましょう。 発光とは、文字通り、メッシュオブジェクトを光らせることです。
なお、メッシュオブジェクトの発光による光は、ランプの光とは違います。
発光による光は、間接光の機能が有効になっている時にだけ、他の物体に影響を与えます。 間接光の機能が無効だと、自分自身の陰影が明るくなるだけです。
また、発光させたメッシュオブジェクトは当然ですが、カメラに映ります。
では、スザンヌを発光させてみましょう。
上図のようにShadingパネルのEmitに 0.5 を設定します。
では、レンダリングしましょう。 キーボードのF12キーを押します。
上図のようにスザンヌが発光しているように見えます。 立方体や平面に色移りしていることがわかります。
続いて、間接光の機能を無効にしてみましょう。
上図のようにPropertiesウィンドウのワールドパネル切替ボタン()を押します。
上図のようにIndirect Lightingパネルの同名のチェックボックスをオフにします。
では、この状態でレンダリングしましょう。 キーボードのF12キーを押してください。
上図のように間接光の機能を無効にすると、他のメッシュオブジェクトには影響を与えません。 そのため、発光しているようには見えなくなりました。
最後に、アンビエントオクルージョンと環境照明を有効にしてみましょう。 アンビエントオクルージョンや環境照明では、スザンヌの色が他に色移りしないことを確認するためです。
上図のようにIndirect LightingパネルのAmbient OcclusionチェックボックスとEnvironment Lightingチェックボックスをオンにします。
では、この状態でレンダリングしましょう。 キーボードのF12キーを押してください。
上図のようにスザンヌの水色は色移りしていません。