ラティスで動きをつける簡単なアニメーションを制作します。
ラティスは、メッシュを変形させるための型枠のようなオブジェクトです。 ラティスと関連付けられたメッシュは、ラティスの形状の影響を受けて変形するようになります。
制作するアニメーションは、立方体が回転し、その後、移動しながら細長く変形するというもので、フレーム数は100とします。 50フレーム目で回転を終え、51フレーム目からは移動しながら細長く変形します。
まず、ラティスを作成します(ラティスは初期状態では立方体の形状をしています)。 次に、作成したラティスの形状を変更し、ある1面を縮小します(台形ピラミッドのような形状となります)。
さらに、作成したラティスと立方体の間にラティス変形の親子関係を構築します。
続いて、特定のフレームに立方体とラティスの位置と回転のキーフレームを登録します。 『1フレーム目はこの位置と回転』、『50フレーム目はこの位置と回転』というように、立方体とラティスの位置と回転のキーフレームを登録していきます。
なお、立方体そのものは、回転も変形もさせません。 ラティスを回転することで立方体も追従して回転させます。 また、立方体をラティスの通常の面側から縮小した面側に向かって移動させることで細長く変形させます。
なお、立方体の位置とラティスの回転は一度の操作で同時にキーフレームを登録することはできません。 それぞれ、キーフレームの登録を行う必要があります。
では、実際にアニメーションを制作しましょう。
Blenderの新規ファイルを元にしてアニメーションを制作します。 画面上部のプルダウンメニューの"File" -> "New"を実行して新規ファイルを開きましょう。
まずは、ラティスを作成します。 3D Viewウィンドウのモード選択リスト()がObject Mode(オブジェクトモード)になっているかを確認し、なっていなければオブジェクトモードに切り替えます。
キーボードのSHIFT+Aを押します(または画面上部のプルダウンメニューの"Add"を実行します)。
上図のように"Add"というタイトルのメニューが表示されますので、"Lattice"を実行します。
上図のように新しいラティスが3Dカーソルの位置に作成され、選択状態になります。 ただし、ラティスは立方体よりも小さいため見えません。
次に、ラティスを2倍の大きさに拡大します(立方体と同じ大きさにします)。
上図のように元の大きさの2.0倍に拡大します(立方体と同じ大きさになります)。
続いて、ラティスを移動します。
上図のようにX軸の順方向に3.0だけ移動します。
次に、X軸の順方向の面を0.2倍に縮小します。 なお、メッシュと同じく、一部分だけを編集するにはエディットモードで作業を行う必要があります。
では、オブジェクトモードからエディットモードへ切り替えます。 キーボードのTabキーを押します(または3D Viewウィンドウのモード選択リスト()のEdit Mode(エディットモード)を選択します)。
では、X軸の順方向の面を0.2倍に縮小しましょう。 ただし、面の単位ではなく、頂点の単位で編集しなくてはなりません。
上図のように縮小する面を構成する4つの頂点を選択します。
では、選択中の頂点を0.2倍に縮小しましょう。
上図のように元の大きさの0.2倍に縮小します。
ラティスの加工を終えたので、エディットモードからオブジェクトモードへ切り替えます。 キーボードのTabキーを押します(または3D Viewウィンドウのモード選択リスト()のObject Mode(オブジェクトモード)を選択します)。
上図のようにラティスはX軸の順方向に向かって台形ピラミッドのような形状になっているはずです。
続けて、ラティスと立方体の間にラティス変形の親子関係を構築します。
オブジェクトに親子関係を持たせるには、まず、対象となるオブジェクトを選択しなければなりません。 その際、選択の順番は非常に重要で、まずは子となるオブジェクト(複数可)を選択し、最後に親となるオブジェクトを選択する必要があります。 今回の例では、最初に立方体を選択し、続いて、ラティスを追加選択します。
まずは、立方体を選択します。
上図のように立方体を選択します。
続けて、ラティスを追加選択します。
上図のようにラティスを追加選択します。
立方体とラティスが選択されていることを確認し、キーボードのCTRL+Pを押します。
上図のように"Set Parent To"というタイトルのメニューが表示されますので、"Lattice Deform"を実行します。
これで、立方体はラティスに影響されて変形するようになりました。
では、1フレーム目のキーフレームを登録しましょう。 1フレーム目は、立方体の現在の位置とラティスの現在の回転をキーフレームとして登録します。 つまり、特に立方体やラティスに対する操作は行なわず、キーフレームの登録のみを行います。
まず、フレームを選択します。 これから1フレーム目での作業を行いますので、対象フレームを1にする必要があります。
上図のように対象フレームを1にします。
続いて、キーフレームを登録します。 3D Viewウィンドウのモード選択リスト()がObject Mode(オブジェクトモード)になっているかを確認し、なっていなければオブジェクトモードに切り替えます。
続いて、立方体を選択します。 ラティスの選択は解除し、立方体のみを選択してください。
では、立方体の位置のキーフレームを登録します。 立方体が選択され、対象フレームが1になっていること確認し、キーボードのI(アイ)を押します。
上図のように"Insert Keyframe Menu"というタイトルのメニューが表示されますので、"Location"を実行します。
これで、1フレーム目に立方体の位置のキーフレームが登録されました。 続けて、同じく1フレーム目にラティスの回転のキーフレームを登録しましょう。 ラティスの回転は初期値のままとしますので、ラティスを回転させる必要はありません。
続いて、ラティスを選択します。 立方体の選択は解除し、ラティスのみを選択してください。
では、ラティスの回転のキーフレームを登録します。 キーボードのI(アイ)を押します。
上図のように"Insert Keyframe Menu"というタイトルのメニューが表示されますので、"Rotation"を実行します。
これで、1フレーム目にラティスの回転のキーフレームが登録されました。
続いて、50フレーム目のキーフレームを登録します。 50フレーム目は、1フレーム目と同じ立方体の位置と回転させたラティスの回転をキーフレームとして登録します。
ただし、立方体の移動やラティスの回転はまだ行わないでください。 現在は、1フレーム目が選択されていますので、まずは対象フレームを50にします。
続いて、立方体を選択します。 ラティスの選択は解除し、立方体のみを選択してください。
では、立方体の位置のキーフレームを登録します。 立方体が選択され、対象フレームが50になっていること確認し、キーボードのI(アイ)を押します。
上図のように"Insert Keyframe Menu"というタイトルのメニューが表示されますので、"Location"を実行します。
これで、50フレーム目にも立方体の位置のキーフレームが登録されました。 続けて、ラティスの回転のキーフレームを登録しましょう。
続いて、ラティスを選択します。 立方体の選択は解除し、ラティスのみを選択してください。
オブジェクトモードのままでX軸を中心軸として45度回転します。
上図のようにラティスをX軸を中心軸として45度回転します。
では、ラティスの回転のキーフレームを登録します。 キーボードのI(アイ)を押します。
上図のように"Insert Keyframe Menu"というタイトルのメニューが表示されますので、"Rotation"を実行します。
これで、50フレーム目にもラティスの回転のキーフレームが登録されました。
最後に、100フレーム目のキーフレームを登録します。 100フレーム目は、移動させた立方体の位置と50フレーム目と同じラティスの回転をキーフレームとして登録します。
まずは、対象フレームを100に変更します。
次に、立方体をX軸の順方向に5.0だけ移動します。 ラティスの選択は解除し、立方体のみを選択してください。
上図のように立方体をX軸の順方向に5.0だけ移動します。
では、立方体の位置のキーフレームを登録します。 キーボードのI(アイ)を押します。
上図のように"Insert Keyframe Menu"というタイトルのメニューが表示されますので、"Location"を実行します。
これで、100フレーム目にも立方体の位置のキーフレームが登録されました。 続けて、ラティスの回転のキーフレームを登録しましょう。 ラティスの回転は50フレーム目と同じとしますので、ラティスを回転させる必要はありません。
続いて、ラティスを選択します。 立方体の選択は解除し、ラティスのみを選択してください。
では、ラティスの回転のキーフレームを登録します。 キーボードのI(アイ)を押します。
上図のように"Insert Keyframe Menu"というタイトルのメニューが表示されますので、"Rotation"を実行します。
これで、100フレーム目にもラティスの回転のキーフレームが登録されました。
では、アニメーションを出力しましょう。 手順は、簡単なアニメーション3DCGの制作 > 変形しない簡単なアニメーションの制作 > マテリアル設定によるアニメーション - アニメーション出力 -と同様です。
ラティスに関してもう少し補足しておきます。
制作したアニメーションでは、ラティスの機能によって立方体が変形しました。 ただし、立方体を変形させたのは、ラティスそのものではありません。 ラティスと立方体の間にラティス変形の親子関係を構築したことによって、立方体が変形したのです。
ラティス変形の親子関係を構築すると、子のオブジェクト(今回は立方体)にラティス変形のモディファイアが追加されます。 立方体を変形させたのは、立方体のオブジェクトに追加されたラティス変形のモディファイアの作用です。
下図は立方体のオブジェクトに追加されたラティス変形のモディファイアです。 ラティスのオブジェクトへの関連付けが行われていることがわかります。
制作したアニメーションでは、ラティスの頂点数は初期状態の 2 x 2 x 2 のまま、つまり面数は6面のままでした。 しかし、ラティスの頂点数はもっと増やすことができます。 ラティスの頂点数を増やすことで、より複雑な形状に加工することができます。
Propertiesウィンドウのオブジェクトデータパネル切替ボタン()を押すことで表示されるLatticeパネルでラティスの頂点数を設定することができます。 下図はLatticeパネルでU軸方向(つまりX軸方向)の頂点数を4に増やした例です。
ラティスと同じく変形に使えるオブジェクトとして『カーブ』と呼ばれるものがあります。 カーブは線のオブジェクトで、円、ベジェ曲線、パス(折れ線)などの種類があります。
メッシュとの間にカーブ変形の親子関係を構築することで、メッシュはカーブの線に沿って変形するようになります。
1フレーム目の立方体の位置のキーフレーム、および100フレーム目のラティスの回転のキーフレームは登録しなくても結果は変わりません。 この記事では、わかりやすさのために登録しました。
ラティスとは、メッシュを変形させることができる型枠のようなオブジェクトです。
初期状態では8つの頂点を持つ立方体の形状をしていますが、U軸、V軸、W軸の頂点数は自由に設定することができます。 また、エディットモードで操作することで、ラティスの一部分だけを加工することができます。
ラティスとメッシュの間にラティス変形の親子関係を構築することで、メッシュはラティスの形状の影響を受けて変形するようになります。 なお、変形はラティス変形のモディファイアの作用によるものです。
また、Blenderには、カーブと呼ばれる変形の機能もあります。