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半透明による後方の透過を表現する

  

レイトレーシングで半透明による後方の透過を表現してみよう

続いては、半透明による後方の景色の透過を実現してみましょう。 つまり、ガラスのような物体の表現です

レイトレーシングによる半透明の表現

ここでも、すでに作成済みの実験用シーンを元に解説します。 画面上部のプルダウンメニューの"File" -> "Open"を実行して実験用シーンのファイルを開きます。

  
実験用シーンは、レンダリング > Blender Renderでレンダリングしてみよう > 実験用シーンの作成で作成しました。 まだ作成していない場合は、そちらの記事を参考にして作成してください。
  
開いた実験用シーンを上書き保存しないよう注意しましょう。 Windows上(またはLinux上)でファイルをコピーしたものを開くのがいいかもしれません。

まずは、レイトレーシングを有効にする必要があります

1. レイトレーシングを有効にする
1. レイトレーシングを有効にする

上図のようにPropertiesウィンドウのレンダーパネル切替ボタンでレンダ関連のパネル群に切り替え、ShadingパネルにあるRay Tracingチェックボックスをオンにします。

  
おそらく初期設定でレイトレーシングは有効になっていると思います。 Blender 2.37からはレイトレーシングは初期設定で有効になっています。

標準レンダリングエンジンのBlender Renderはスキャンライン方式でレンダリングを行いますが、レイトレーシングも併用することができます。 レイトレーシングを併用することで、

  1. アンビエントオクルージョンによる擬似環境光
  2. 環境照明による擬似環境光
  3. 反射による映り込み
  4. 半透明による透過
  5. 他の物体による影

の機能が使えるようになります。

まずは、立方体の拡散反射色を変更します。 結果をわかりやすくするために色をつけます。

2. 立方体を選択
2. 立方体を選択

上図のように立方体を選択します。

続いて、マテリアルの拡散反射色を設定します。

3. マテリアルパネル切替ボタン
3. マテリアルパネル切替ボタン

上図のようにPropertiesウィンドウのマテリアルパネル切替ボタン(マテリアルパネル切替ボタン)を押します。

4. Diffuseパネルの拡散反射色を水色に
4. Diffuseパネルの拡散反射色を水色に

上図のようにDiffuseパネルの拡散反射色を水色に設定します。

次に、スザンヌの拡散反射色を変更します。 これも、結果をわかりやすくするための色づけです。

5. スザンヌを選択
5. スザンヌを選択

上図のようにスザンヌを選択します。

続いて、マテリアルの拡散反射色を設定します。

6. マテリアルパネル切替ボタン
6. マテリアルパネル切替ボタン

上図のようにPropertiesウィンドウのマテリアルパネル切替ボタン(マテリアルパネル切替ボタン)を押します。

7. Diffuseパネルの拡散反射色を黄色に
7. Diffuseパネルの拡散反射色を黄色に

上図のようにDiffuseパネルの拡散反射色を黄色に設定します。

では、レンダリングしてみましょう。 キーボードのF12キーを押してください。

8. レンダリング結果
8. レンダリング結果

上図のように立方体は青色、スザンヌは赤色です。 まだ、半透明の機能は有効にしていないので、透過は発生していません。

では、半透明の機能を有効にしましょう。 今回はスザンヌに半透明の設定を行います。

9. スザンヌを選択
9. スザンヌを選択

上図のようにスザンヌを選択します。

続いて、半透明を有効にします。

10. マテリアルパネル切替ボタン
10. マテリアルパネル切替ボタン

上図のようにPropertiesウィンドウのマテリアルパネル切替ボタン(マテリアルパネル切替ボタン)を押します。

11. Transparencyチェックボックスをオンにする
11. Transparencyチェックボックスをオンにする

上図のようにTransparencyパネルの同名のチェックボックスをオンにし、Transeparency MethodにRaytraceを選択し、さらに、Alphaに 0.2 を設定します。

  
Transeparency MethodにMaskやZ Transparencyを選択すると、スキャンライン方式で透過が計算されます。 ただし、屈折を表現できるRaytraceを使うのが無難でしょう。
  
Alphaは不透過率です。 レイトレーシングで放出された光線がこの面を透過しない確率を 0.0 から 1.0 の範囲で指定します。

では、再度レンダリングしてみましょう。 キーボードのF12キーを押します。

12. レンダリング結果
12. レンダリング結果

上図のようにスザンヌに立方体や平面が透過しています。

続いて、透過面の滑らかさを調整してみましょう。 現在は、スザンヌの透過面は磨き込まれたガラスのようにくっきりとスザンヌや平面を透過しています。

もう少し粗い面であるかのように表現しましょう。

13. Amountに 0.9 を設定する
13. Amountに 0.9 を設定する

上図のようにTransparencyパネルのAmountに 0.9 を設定します。

では、これでレンダリングしてみましょう。 キーボードのF12キーを押してください。

14. レンダリング結果
14. レンダリング結果

上図のように透過がぼやけました。 すりガラスのような印象に変わりました。

ここまでの作業で半透明を表現できたのはいいのですが、どう見ても影が不自然です。 最後に影を柔らかくしましょう。

なお、影を柔らかくするのは、影を落とす側のマテリアル設定ではなく、影を受ける側のマテリアル設定です。 つまり、今回の例では、平面のマテリアル設定です。

では、平面を選択しましょう。

15. 平面を選択
15. 平面を選択

上図のように平面を選択します。

続いて、マテリアルの影関連の設定を変更します。

16. マテリアルパネル切替ボタン
16. マテリアルパネル切替ボタン

上図のようにPropertiesウィンドウのマテリアルパネル切替ボタン(マテリアルパネル切替ボタン)を押します。

17. ShadowパネルのReceive Transparencyをオンに
17. ShadowパネルのReceive Transparencyをオンに

上図のようにShadowパネルのReceive Transparencyをオンにします。

では、レンダリングしてみましょう。 キーボードのF12キーを押してください。

18. レンダリング結果
18. レンダリング結果

上図のように影が自然になりました。

なお、アンビエントオクルージョンや環境照明と併用することで、写実的なレンダリングを行うことができます。 以下は環境照明との併用例です。

19. 環境照明との併用例
19. 環境照明との併用例
  
環境照明のEnergyは 0.5 に設定しています。

その他の設定項目の意味

説明できなかったその他の設定項目の意味を以下に掲載します。

設定項目 意味 詳細
Specular 鏡面反射色の透過を調整する ?
Fresnel フレネル効果の強さ 0.0で無効になる
Blend フレネル効果のブレンド係数 フレネル効果を起こすエリアと起こさないエリアの境界のブレンド係数
IOR 屈折率 屈折率を表す
空気なら1.0、水なら1.333のように材質によって決める
1.0で屈折しなくなり背景は歪まない
Filter 透過する光線の吸収係数 数値を上げると透過する光線が拡散反射の色を帯びる
Falloff 透過する光線の吸収の速さ 素材の厚みを表現する
Limit 光線を透過させない厚みのしきい値 この厚みを超えると不透明として扱われる
Depth レイトレーシングでの上限の透過回数 視点から見てその物体の先に半透明の物体がどのぐらい重なっているかで調整する
Threshold サンプリングのしきい値 数値を上げるとレンダリング時間は短くなるがノイズが増える
Samples サンプリング数 数値を上げるとレンダリング結果は滑らかになるがレンダリング時間が長くなる
  
フレネル効果とは、光が屈折率の異なる物質に入ろうとするときの反射と屈折の振る舞いを表します。 身近なところでは、水面の反射と屈折で現象を観察することができます。
  
真上から水面を見下ろすと、光はほとんど反射せず、水底が見えます。 しかし、視線を遠くに移していくと、水の中は見えにくくなり、最後には奥の景色を反射して映し込むようになります。
  
屈折率(IOR : Index Of Refraction)は、空気なら1.0、水なら1.333のように材質によって決めます。 材質ごとの屈折率は、ネットで『屈折率一覧』のようなキーワードで検索すればたくさんが見つかります。
  
  

まとめ

Transeparencyパネルの同名のチェックボックスをオンにすることで半透明による後方の透過がレンダリングされるようになります。

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