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UV展開方式(マッピング方式)について(その4)

  

UV展開してみよう(続き)

前の記事の『UV展開方式(マッピング方式)について(その3)』からの続きです。 この記事では、Cube ProjectionとCylinder ProjectionおよびSphere Projectionで展開してみましょう。

Cube Projection

Cube Projectionは、立方体に近い形状のメッシュの展開に向いていますシームは無視されますので、入れても意味はありません

Cube Projectionでは、メッシュは立方体の各面に投影され、展開されます。 マニュアルの説明にはそう書かれているのですが、うーん、わかりづらい。

スザンヌを例に考えてみましょう。 ここで、スザンヌと、スザンヌを囲む立方体が置かれている場面を想像してください。 そして、スザンヌはワイヤフレームのように、『枠』だけで構成されているとします。

立方体の中のスザンヌ
立方体の中のスザンヌ

さらに、スザンヌの内部の中心に全方向を照らす明かりを置きます。 裸電球のようなものとしましょう。 すると、立方体の各面にスザンヌの枠が映し出されます。

この『枠が映し出された各面』を重ねたものが最終的なUV展開図になります。 各面を並べるのではなく、重ねるというところがポイントです。

文字で伝えるのは難しいので実際にやってみましょう。

では、作成済みのテスト用シーンを元に解説します。 画面上部のプルダウンメニューの"File" -> "Open"を実行してテスト用シーンのファイルを開きます。

  
テスト用シーンは、テクスチャ > UV展開方式(マッピング方式)についてで作成しました。 まだ作成していない場合は、そちらの記事を参考にして作成してください。
  
開いたテスト用シーンを上書き保存しないよう注意しましょう。 Windows上(またはLinux上)でファイルをコピーしたものを開くのがいいかもしれません。

まず、UV展開の情報をリセットします。 エディットモードで全選択し、キーボードのUを押します。

1. UV Mappingメニュー
1. UV Mappingメニュー

上図のように"UV Mapping"というタイトルのメニューが表示されますので、"Reset"を実行します。

では、UV展開しましょう。 キーボードのU押してください。

2. UV Mappingメニュー
2. UV Mappingメニュー

上図のように"UV Mapping"というタイトルのメニューが表示されますので、"Cube Projection"を実行します。

3. UV展開の結果
3. UV展開の結果

上図のようにUV展開されます。 スザンヌだとわかっていればスザンヌに見えますが、知らなければ何の展開図だかわかりません

わかりづらい原因は、この展開図がスザンヌが前後上下左右に投影された結果が重ねられたものだからです。 別の表現をすれば、前から見たスザンヌ、後ろから見たスザンヌ、上から見たスザンヌ、下から見たスザンヌ、左から見たスザンヌ、右から見たスザンヌが重なったものです。

なぜ、重ねられているのかは最後に説明しますが、ここではスザンヌの後頭部の一部だけを選択状態にしてみましょう。

4. スザンヌの後頭部を選択
4. スザンヌの後頭部を選択

上図のようにスザンヌの後頭部を選択します。

この状態でUV展開図を見てみましょう。

5. UV展開の結果
5. UV展開の結果

上図のようにUV展開図上ではつながっていることがわかります。

Cube Projectionについては、まだ説明しておきたいことがあります。 スザンヌを例にした説明を終え、ここからは、Blenderの新規ファイルを元にして作業を行います画面上部のプルダウンメニューの"File" -> "New"を実行して新規ファイルを開いてください

まず、UV展開に最適な画面レイアウトに切り替えます。

6. 画面レイアウトをUV Editingに切り替える
6. 画面レイアウトをUV Editingに切り替える

上図のようにInfoウィンドウのヘッダ部で画面レイアウト選択リスト(画面レイアウト選択リスト)に "UV Editing" を選択します。

7. UV Editing画面レイアウト画像を拡大する
7. UV Editing画面レイアウト

上図のように左側にUV/Image Editorウィンドウ、右側に3D Viewウィンドウという画面レイアウトに切り替わります。

続いて、UV/Image Editorウィンドウの不要なプロパティシェルフを閉じましょう。 UV/Image Editorウィンドウ上でキーボードのNを押します

8. プロパティシェルフを閉じる画像を拡大する
8. プロパティシェルフを閉じる

上図のようにUV/Image Editorウィンドウのプロパティシェルフが閉じます。

続いて、新規イメージを作成します。

9. イメージ追加ボタンを押す
9. イメージ追加ボタンを押す

上図のようにUV/Image Editorウィンドウのイメージ選択リスト(イメージ選択リスト)のイメージ追加ボタン(イメージ追加ボタン)を押します。

10. OKボタンを押す
10. OKボタンを押す

上図のように"New Image"というタイトルのパネルが表示されますので、OKボタンを押します。

11. 新規イメージ画像を拡大する
11. 新規イメージ

上図のようにUV/Image Editorウィンドウにイメージが作成されます。 しかし、初期値の1024 x 1024のイメージでは、初期の表示倍率では画面からはみ出します。

適切な表示倍率にするため、キーボードのHOMEキーを押します

12. イメージの全体表示画像を拡大する
12. イメージの全体表示

上図のように表示倍率が変更され、イメージ全体が表示されます。

では、UV展開しましょう。 エディットモードで全選択した状態でキーボードのUを押します。

13. UV Mappingメニュー
13. UV Mappingメニュー

上図のように"UV Mapping"というタイトルのメニューが表示されますので、"Cube Projection"を実行します。

14. UV展開の結果
14. UV展開の結果

上図のようにUV展開されます。 よくわからない結果ですが、原因は展開図が大き過ぎるためです

キーボードのテンキーの-(マイナス)を何度か押してズームアウトしましょう。

15. ズームアウトされたUV展開の結果
15. ズームアウトされたUV展開の結果

上図のようにズームアウトすると全体が見えてきます。

ここで気になるのが、面が3面しかないように見えることです。 筆者も、初めてCube Projectionを使った時には困りました。

でも、実は6面が重なっているのです。 試しに面を移動してみましょう。

16. 面を移動したUV展開の結果
16. 面を移動したUV展開の結果

上図のように面が6面あることがわかります。

なぜこのように重ねられているのかですが、おそらくテクスチャ画像を節約するためだと思います。 『6面全てに異なるテクスチャを貼る必要はなく、同じ画像を別の面に貼っても問題ないだろう』ということで、このような展開が行われているものと思います。

UV展開後に調整可能な設定項目の意味を以下に掲載します。

設定項目 意味 詳細
Cube Size 投影する立方体の大きさ 1.0未満だと6面が重なり、1.0以上だと2面 x 3となる
Correct Aspect 縦横比の補正 イメージの縦横比を考慮してUV展開する
Clip to Bounds 枠にクリップ イメージの大きさで切り詰める
Scale to Bounds 枠に合わせて拡大縮小 イメージの大きさに収まるよう拡大縮小する

Cylinder Projection

Cylinder Projectionは、メッシュを円柱に投影して展開しますシームは無視されますので、入れても意味はありません

すでに説明したCube Projectionに似ていますが、3D Viewウィンドウでの視点が考慮されるという点が異なります。 Cylinder Projectionでは、現在の3D Viewウィンドウ上での視点から見て垂直に立っている仮想的な円柱に投影されるのです。

  
Cube Projectionのように、3D Viewウィンドウの視点を考慮せずに展開させることもできます。 後述するUV展開後に調整可能な設定項目 Direction で変更できます。

では、すでに作成済みのテスト用シーンを元に解説します。 画面上部のプルダウンメニューの"File" -> "Open"を実行してテスト用シーンのファイルを開きます。

  
テスト用シーンは、テクスチャ > UV展開方式(マッピング方式)についてで作成しました。 まだ作成していない場合は、そちらの記事を参考にして作成してください。
  
開いたテスト用シーンを上書き保存しないよう注意しましょう。 Windows上(またはLinux上)でファイルをコピーしたものを開くのがいいかもしれません。

まず、UV展開の情報をリセットします。 エディットモードで全選択し、キーボードのUを押します。

1. UV Mappingメニュー
1. UV Mappingメニュー

上図のように"UV Mapping"というタイトルのメニューが表示されますので、"Reset"を実行します。

では、UV展開します。 キーボードのUを押します。

2. UV Mappingメニュー
2. UV Mappingメニュー

上図のように"UV Mapping"というタイトルのメニューが表示されますので、"Cylinder Projection"を実行します。

3. UV展開の結果
3. UV展開の結果

上図のようにUV展開されます。 スザンヌは左右対称ですが、展開図は歪んでいます。 理由は、3D Viewウィンドウ上の視点から見て真っ直ぐに立っている円柱に投影されたからです

では、3D Viewウィンドウ上の視点を真っ直ぐにスザンヌに向けましょう。 キーボードのテンキーの1を押し、正面図の位置に視点を移動します。

4. 正面図
4. 正面図

上図のように正面図の位置に移動します。

では、再度UV展開します。 キーボードのUを押します。

5. UV Mappingメニュー
5. UV Mappingメニュー

上図のように"UV Mapping"というタイトルのメニューが表示されますので、"Cylinder Projection"を実行します。

6. UV展開の結果
6. UV展開の結果

上図のように歪みなくUV展開されました。

UV展開後に調整可能な設定項目の意味を以下に掲載します。

設定項目 意味 詳細
Direction 円柱の軸の方向 Align to ObjectではCube Projectionと同じくメッシュに連動し、View on EquatorとView on Polesでは視点と連動する
Align 上となる軸を選ぶ DirectionにView on Polesを選択した場合の軸を選ぶ
Radius 半径 円柱の半径を指定する
Correct Aspect 縦横比の補正 イメージの縦横比を考慮してUV展開する
Clip to Bounds 枠にクリップ イメージの大きさで切り詰める
Scale to Bounds 枠に合わせて拡大縮小 イメージの大きさに収まるよう拡大縮小する

Sphere Projection

Sphere Projectionは、メッシュを球体に投影して展開します。 それ以外はCylinder Projectionと同じです。

次の記事へ

では、ここで一区切りしましょう。 続きは次の記事を参照ください

  
  

まとめ

Cube Projectionは、立方体に近い形状のメッシュの展開に向いています。 立方体に投影された後、1つまたは3つに重ねられます。

Cylinder ProjectionとSphere Projectionは、メッシュを円柱や球体に投影して展開します。 Cube Projectionとは異なり、面が重ねられることはなく、また視点を軸にすることもできます。

 
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